この記事は2022年6月1日に弊社の森数がVoicyでお話した# 17 感覚面接からの脱却。面接の設計方法!を元に記事化したものです。

気になる方はVoicyもチェックしてみてください!

感覚面接脱却の鍵は言語化につきる

採用活動を強化したら、”選考基準や判断のばらつきの壁”にぶち当たったという話をよく聞きます。採用を強化していくと面接・面談対応数が増えるので、今まで採用に関わってこなかった社員も選考に駆り出されるからです。

それまでは、代表やボードメンバーなど限られた人たちが面接をしていたので、細かいところまで決めなくても選考基準が大きくばらつくことはなかったのでしょう。そのため、面接・面談に関わる人を増やした後で、「面接のヒアリング項目ってどうしたらいい?」「面接の仕方をどう教えたらいいのか?」と悩む会社が結構多いのです。

今回は、自社に合う人材を複数の面接官が同じような目線で判断する5つの方法についてお話していきます。

選考基準や判断のばらつきをなくす5つの方法

1. カルチャーの言語化

初めにすべきことは、自社のカルチャーを言語化することです。会社は人ではありませんが、人によって構成されています。メンバーひとり一人の特性や価値観が集まることで、会社のカルチャーが形成されます。つまり、カルチャーは結果として作り出されているものといえます。ですから、カルチャーが明確に定義されていない場合は、まずは既存メンバーに話を聞くところから始めましょう

その際、コンピテンシー(※)もあわせて整理しておきましょう。今活躍してるメンバーに以下の質問をしてみましょう。

・どんな思いで仕事してますか?
・何をするときに意味と価値を感じますか?
・どんなときに嫌だなって思いますか?
・仕事をしている上で大切にしていることは何ですか?

今いるメンバーの価値観を集めて、どんな傾向があるのかを分析・定義していくと自社のカルチャーを浮彫していけます。もちろん、既にもうカルチャーの言語化ができていれば、この作業は読み飛ばしていただいてOKです。

(※)コンピテンシー:ハイパフォーマーに共通して見られる行動特性

2. 面接の評価項目を決める

スキルの評価項目決めは、どのような経験やスキルがあるかを確認するため、イメージもつきやすく難しくありません。しかし、カルチャーフィットはそうはいきません。どんな行動をする人が自社で高い成果を残し活躍できるのか、そもそもどんな人と一緒に働きたいかというところからマッチする人材、人物の特性を決めなければいけません。

このレベルであれば、ある程度決めてる会社も多いかもしれませんが、採用成功の確率を高めるにはより掘り下げなければいけません。

例えば、”リーダーシップがある人”が面接の評価項目の一つになったとします。皆さん、リーダーシップのある人ってどんな人をイメージしますか?辞書を引いてみるとこう書いてあります。

■リーダーシップ
指導者、統率者としての地位、任務に指導者としての能力、資質、統率力、指導力
※広辞苑参照

なんとなくイメージは湧くけれど人によって意味合いが異なりそうですね。そこで、周りの人にリーダーシップのある人ってどんな人だと思うかを聞いてみました。

結構ばらつきがでました。評価項目を大きく決めただけでは不十分ということです。評価要件の言葉の定義を細かく決めることが大切といえます。

3. 評価項目の定義を決める

先ほどのリーダーシップであれば「自社でいうリーダーシップって何?」と一緒に評価する基準を定めることが必要となります。どういう行動特性があればリーダーシップがあるとみなすかを具体的に整理して決めていきます。

例えば、”目標を掲げて人を巻き込んでチームで成し遂げることができる人”が自社にとって必要なリーダーシップだったとします。そうすると、評価基準のチェック項目としては、以下のように整理できます。

・進むべき方向を理解して自ら目標を掲げることができる
・その上で人を巻き込んで進めることができる
・チームに意見が違う人がいても、協働してゴールに向かえる
・プロジェクトの成功が目標達成後全体最適を考えた行動を起こしている

このように、どういう場面でどのような行動をする人かまで言葉に落とし込みましょう。そうすることで、面接後のフィードバックを面接官同士で擦り合わせる時に、感覚ではなくファクトをもとにディスカッションすることが可能になります。

4. 評価項目の質問方法

さて、評価項目の定義が決まったら、どのように質問すればいいかを決めることも重要です。面接に不慣れな人が面接官になる場合、判断基準は理解していてもうまく情報を引き出せない、という話もよく聞きます。面接を最大限有意義な時間にするためにも事前に質問の仕方、方法を定めておきましょう

ちなみに、質問には”効果的ではない質問”と”効果的な質問”とがあります。

応募者自身が自分をどう思うかという感想ベースではなく、具体的な過去の経験やケースに基づいて話してもらうと、事実をもとに判断することが可能になります。

また、面接官のキャラクターや話の流れによって聞きやすい質問の仕方が異なるため、一つの確認項目に対して、いくつか質問例を用意していくことをお勧めします。

5. 面接官への研修

面接官に対して、面接を依頼するだけではなく、研修も実施するようにしましょう。アサインされたからといって、いきなり面接官になれるわけではありません。最低でも以下の4つについてはしっかりとレクチャーするようにしましょう。

・採用の目的や背景
・面接と面接官の役割
・採用要件(項目)とその評価基準
・質問の仕方と面接で聞いてはいけないこと

”面接官が与える印象=その会社の印象そのものに”なるので、会社の顔という意識を持って面接に臨めるようにしましょう。加えて、面接では聞いてはいけないことや決まりも沢山ありますので、トラブルを避けるためにも事前のトレーニングが大切です。

詳しくはコチラnoteでも紹介しているので是非チェックしてみてください。


実践すると良い副次効果も

自社にとって必要な人材と評価基準を言語化することで、同一目線での採用活動が可能になるだけではなく、今後の採用戦略を立てる際のヒントも多く得られます。また、採用に関わる人が自分が面接官としてその場に立つことで、自社への理解を深める良い機会にもなります。

まとめ

採用のゴールは当たり前ですが、入社した人が活躍することです。選考で確認することが定まっていないと行き当たりばったりな感性only採用になり「こんなはずじゃなかったな…」っと不幸の種になります。

特に、規模の大きい会社さんならまだしもスタートアップにとって事業成功を左右する重要なファクターの一つです。だからこそ、経験則や感性のみに頼るのではなくて、具体的な設計が重要なのです。

まずはやってみましょう。どうやったらいいか困ったら、是非一度ご相談いただければと思います。