前回の記事では、目標設定面談の重要性とその進め方について解説しましたが、今回はその次のステップ、「中間面談」について詳しく解説します。「中間面談」は、目標達成に向けた進捗確認や課題の明確化、必要に応じた修正を行う重要な場です。この面談を通じて、個人と組織の双方が目標達成に向けてより効果的に連携できます。メンバーと共に進捗状況を共有し、計画を適宜見直すことで、事業目標の達成とメンバーの成長がより確実なものとなります。

チームと目標をつなぐ!中間面談の意義とは?

中間面談は、進捗状況の確認だけでなく、目標達成を阻む障害を明らかにし、解決策を共に考えることで、目標達成の可能性を高める場です。また、メンバーに自己成長の機会を提供し、組織全体の目標達成に貢献していると実感をもつ絶好のタイミングでもあります。評価者と被評価者が面談を通じて対話を重ねることで、被評価者は自らの進捗を振り返り、目標達成に向けた軌道修正や工夫を行うことに繋がってきます。

中間面談の目的

進捗の確認と認識のすり合わせ

目標達成に向けた進捗を評価者と被評価者が共有し、進行状況や現状の課題に対する認識を揃えます。これにより、目標達成への共通認識が醸成され、次のアクションが明確になります。

障害の特定と改善策の立案

業務に潜む課題や障害を話し合い、実現可能な改善策を一緒に検討します。必要に応じて上司の支援も取り入れることで、より達成に近づく実行計画を再構築します。

目標の妥当性の再評価

業務や環境の変化が進捗に影響している場合、目標の現実性や難易度を改めて検討し、適切な内容に調整します。これにより、目標が現状に即した、意欲的に取り組めるものとなります。

中間面談は、単なる進捗報告ではなく、被評価者の成長と組織目標の達成に向けた貴重な調整・創意工夫の場です。評価者と被評価者が共に進捗を確認し、「ここからさらに何が達成に必要か」を理解して取り組むための絶好のチューニング機会として機能します。

中間面談で押さえるべき4つの観点

中間面談を効果的に進めるためには、以下の観点を持って取り組むことが肝要です。

進捗の状況確認

メンバーがどこまで目標を達成しているか、進捗状況を確認します。順調な点や課題がある部分について具体的に振り返り、現実の進捗を正しく理解していきましょう。

進捗に影響を与える要因  

目標達成に向けて順調である場合も、不調に陥っている場合も、フラットに理由を掘り下げていきます。本人自身による要因、組織や市場環境の変化、チームやリソースに関する課題など、進捗に影響を与える要因を特定することで、適切なサポートが可能となります。

目標達成に向けた計画の再評価  

目標達成に必要なプロセスが現時点で適切かどうか、見直しを行います。目標を達成するために求められる具体的な活動やリソースが見えているか、今後必要な支援や調整が何かを一緒に考えましょう。

目標内容の修正要否 

目標設定の時点から環境が大きく変化した場合には、目標自体の見直しが必要です。ただし、目標の修正は安易に行わないことが大切です。

修正を行うべきかの判断には、「目標が現状のままでは達成困難となる大きな環境変化があったか」が鍵となります。修正が必要な場合の基準については、評価者間で事前に合意しておきましょう。以下の具体例も参考にしてみてください。

目標の削除や追加が必要な場合:
顧客の倒産やプロジェクトの中止といった外的要因により、目標が現実的でなくなった場合
組織の戦略変更に伴い、新たなプロジェクトが急遽発生し、追加の目標が必要となる場合
目標の基準・重要度・難易度の修正が必要な場合:
外部環境やチーム構成の変化により、達成基準や進め方を調整する必要が出た場合
例)市場環境の急変で元の目標が極めて難しくなった、もしくはリソース追加で目標達成が容易になった場合など

中間面談の効果的な3ステップ

ここからは、中間面談を効果的に進めるための基本的なプロセスとポイントをご紹介します。この進め方はあくまで一例であり、各組織やメンバーの状況に応じて調整しながら活用することが大切です。面談を通じて、メンバーと進捗の認識をすり合わせ、達成に向けた具体的な計画と支援体制を再考していきましょう。

【1】事前準備:進捗状況の確認と整理

中間面談をスムーズに進めるためには、評価者と被評価者双方での事前準備が欠かせません。

評価者の準備

  前回の目標設定面談で合意した目標と進捗状況を確認します。特に客観的に判断できる数値目標や、具体的な進捗状況を把握し、メンバーとの進捗共有に備えます。

被評価者の準備 

  メンバー自身も、目標に対する進捗状況を整理しておくようにしましょう。順調な部分、不調な部分、そして不調である場合には、その理由や改善策を検討しておくように評価者から事前に伝えましょう。事前に課題意識をもって準備を進めることで、面談の場で建設的な話し合いが可能となります。

【2】面談当日:進捗と改善策の共有

面談当日には、進捗状況の確認や課題の整理を通じて、目標達成に向けた方向性をすり合わせていきます。

面談の目的の共有 

  「この面談が被評価者の目標達成と成長を支援するためにあり、達成に向けた障害の把握や、解決策の検討、計画の見直しをすべく行われる」という目的を被評価者と確認します。

進捗状況の確認

  被評価者に、事前に整理した進捗状況について話してもらいましょう。被評価者から、各目標の進捗、達成基準、達成に向けた方法、背景や理由について話してもらいます。評価者は途中で口を挟まず、最後まで聴き、その後で質問があれば確認します。

目標達成に向けた障害と改善策の共有

被評価者が認識している障害や課題、考えられる改善策について共有します。目標に対する進捗が順調な場合、その要因やさらに成果を確実にするためのポイントを一緒に確認します。逆に、進捗が遅れている目標については、評価者と被評価者がその原因や背景を共有し、改善に向けた具体的な手立てを話し合います。

被評価者が考えている改善策や取り組みたい手法を確認し、上司も可能なサポートを提案することで、共に達成に向けた現実的なプランを整えていきます

目標内容の修正要否の検討

必要があれば、評価者と被評価者で目標の達成基準や方法の見直しを行い、現状に即した適切な目標内容に調整します。前述の通り、安易な目標修正は望ましくありません。修正の基準については、事前の合意に基づいて判断します。

支援とサポート内容の確認

各目標の難易度・重要度、達成方法について再度話し合い、具体的なステップや活動イメージをすり合わせます。必要なサポートやリソース、上司としてどのような支援を行うかを検討し、計画に組み入れていきます。

面談内容の振り返りと意義の確認

面談で話し合った内容を振り返り、目標達成の意義や成長の機会としての重要性を再確認します。被評価者からの疑問や質問があれば、対応し、理解を深めます。目標達成に向け、上司として提供できる支援を再度伝え、被評価者の取り組みをあたたかく後押しします。

【3】面談終了後:支援内容や目標の記録

面談で話し合った内容や支援内容は、今後のコミュニケーションにおいても大切な役割を果たします。特に目標に修正があった場合は、評価者間で共有し、評価の基準や達成基準の一貫性を確保しましょう。

面談記録の共有

  認識齟齬が起こらないよう、面談での合意事項や支援内容を記録し、被評価者に共有します。面談で話しただけでは、認識が揃っていないことがあります。決めたアクションについては、被評価者が書いて共有する形式にするのもいいでしょう。

定期的な確認とフォローアップ

  記録をもとに定期的な確認を行い、メンバーの目標達成意欲が維持されるよう支援します。定期的なチェックで目標達成を支える体制を確保します。

目標見直し時の注意点

中間面談を円滑に進め、適切な目標推進に繋げるために、注意しておきたいポイントを以下にまとめます。

目標修正の要否は慎重に判断する 

  安易に目標を修正してしまうと、等級に基づいた本来の期待役割が満たされず、不公平感が生まれる恐れがあります。修正が必要な場合は、例えば顧客の事情によるプロジェクトキャンセルや組織方針の変動など、本人以外の要因としての組織内外の重要な変化を基準に行いましょう。目標修正時には新しい達成基準も明確にし、必要なサポート内容も具体化するように心がけます。

評価者間で認識のずれを防ぐための合意形成

  目標の修正基準や評価に関する解釈にずれが生じると、評価の一貫性が保たれなくなります。修正が必要とされる条件やその適用基準については、事前に評価者同士で共有し、意見をすり合わせておくことが大切です。

適切なタイミングでの目標見直し

抗いがたい外部環境の変化が目標に大きく影響を及ぼしている場合、中間面談の時点で早期に調整を図ることが不可欠です。期末になって目標が機能していなかったことが判明しないよう、早期の段階で調整を図り、目標の再確認を行うことを意識しましょう。

まとめ

中間面談は、メンバーの目標達成に向けた進捗状況を共有し、次に必要なアクションを計画するための貴重な場です。組織としての進捗や環境変化を取り込みながら、適切なフィードバックと支援を行うことで、メンバーが目標に向けて意欲的に取り組む姿勢を育みます。必要なタイミングで適切な対応ができるよう、評価者と被評価者がともに確認し合い、成長の機会とする中間面談の体制を整えていきましょう。  

もしこれらの運用に課題を感じている場合は、ぜひご相談ください。経験豊富なプロの視点から、貴社に最適な制度設計と運用のあり方を描くお手伝いをいたします。

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