前回の記事では、目標の達成状況を確認する「中間面談」の意義や進め方について解説しました。今回取り上げる「振り返り(1次評価)面談」は、被評価者が自分自身の評価結果を知り、その理由や背景について理解を深めるための重要なステップです。評価者と被評価者が互いの評価の内容や理由について認識をすり合わせることで、最終評価の納得感が向上し、評価制度に対する信頼性も高まります。

相互理解を深める評価の場!振り返り面談の意義とは?
振り返り面談は、一次評価の結果を被評価者と共有し、評価内容の背景や根拠をすり合わせ、理解を深める場です。この面談は、評価の最終決定を行う場ではなく、自己評価と一次評価を通してお互いの視点を理解し、評価プロセスへの納得感を高めることを目的としています。
振り返り面談の目的
評価結果の共有と相互理解の深化
振り返り面談は、評価者と被評価者が評価結果とその背景をすり合わせる場です。一次評価を単に伝えるだけではなく、評価に至った理由や基準、考え方を具体的に説明し、被評価者自身の自己評価の背景も確認することで、双方の理解を深めます。こうした共有プロセスが、被評価者の評価に対する納得感の醸成に繋がります。
最終評価フィードバックに向けた基盤づくり
振り返り面談でのやり取りを通じて、評価者と被評価者が互いの認識を揃えておくことは、次に控える「評価フィードバック面談」でのやり取りをより有意義なものにし、フィードバックの納得感を高める基盤となります。
振り返り面談での効果的な3ステップ
ここからは、振り返り面談を効果的に進めるための基本的なプロセスとポイントをご紹介します。この進め方はあくまで一例であり、各組織や被評価者の状況に応じて調整しながら活用することが望ましいです。面談を通じて、一次評価や自己評価について丁寧に認識をすり合わせ、お互いの納得感を高める場にしていきましょう。

【1】事前準備:自己評価の確認と評価者の評価記入
振り返り面談の効果を高めるためには、双方の準備が欠かせません。
評価者の準備
評価者は、目標設定や中間面談で確認した内容をもとに、被評価者の達成状況とその要因を事前に振り返り、評価を記入します。特に被評価者が自己評価で記載した点については、評価者の評価とのギャップが大きくなりそうな項目や、特に強化すべきポイントを明確にしておきましょう。なお、評価の客観性を保つため、評価者の評価記入は被評価者自身の自己評価を確認する前に準備しておくことが推奨されます。
被評価者の準備
被評価者には、事前に自己評価を記入し、提出してもらうと良いでしょう。各目標や評価基準に基づいて、自身がどの程度達成できたかを振り返り、根拠や背景を明確に振り返っておくように依頼しておきましょう。これにより、被評価者が評価内容を自らの視点から捉える姿勢が整い、面談が建設的な話し合いの場になります。
【2】面談当日:評価結果の共有と背景の理解
振り返り面談の真髄は、評価結果の共有と、評価に至った背景の理解を深めることにあります。以下の流れを参考にしながら取り組んでみてください。
面談の目的を共有する
振り返り面談が最終評価を決定する場ではなく、自己評価と一次評価の内容や背景を共有して認識をすり合わせる場であることをはじめに共有しましょう。「評価期間における実績や行動に対するフィードバックであり、あなたの成長を支援するためのプロセス」という評価者のスタンスを明確にすることで、面談への理解が深まりやすくなります。

自己評価の共有
被評価者に自己評価について、評価内容や達成基準、評価の根拠と背景について説明してもらいます。評価者は途中で口を挟まず、まずは最後までしっかりと話を聞く姿勢を示します。その後、評価の背景や達成基準について必要な確認事項があれば質問を行いましょう。
評価者からのフィードバックと認識のすり合わせ
評価者が被評価者の実績や行動についてどのように評価しているかを伝え、特に自己評価と差がある項目についてその理由や基準を丁寧に説明します。この際、評価者が評価に込めた期待や背景も合わせて伝えることで、被評価者が理解・納得しやすくなります。また、自己評価との違いが生じた場合は、その自己評価の根拠や背景について被評価者に確認し、双方の理解を深めながら認識をすり合わせていきます。
この認識のすり合わせを通じて、評価に対する共通認識が醸成され、被評価者の理解が深まるとともに、最終的な評価決定に向けた準備が整えられます。最終評価は評価会議で決定しますが、この面談で話し合われたことが被評価者の納得感に大きく寄与します。

面談内容の振り返りと次回フィードバックに向けた確認
面談の最後に、話し合った内容を簡単に振り返り、同じ認識に至った点や評価者に確認しておきたいことを整理します。被評価者の疑問が解消されるまでしっかりと向き合うことで、被評価者の理解がさらに深まります。また、併せて次回の評価フィードバックの時期や方法についても伝えておくと良いでしょう。
【3】面談終了後:認識のギャップや相談事項の整理
振り返り面談での確認事項や被評価者の自己評価の背景は、最終的な評価の精度を高めるためにも記録しておきましょう。
認識ギャップの記録
振り返り面談の際に確認された、被評価者と評価者間の認識の違いについて記録しておきます。面談での記録は、評価会議などで他の評価者と話し合う際の重要な参考資料・ケーススタディにもなります。
評価会議での相談事項の整理
振り返り面談で把握した評価に関する課題や未解決の内容については、評価会議に向けて他の評価者と相談するための準備を行います。この段階で論点を整理しておくことで、評価者が会議での議論を通じて評価眼を養い、より公正で透明性の高い評価に繋げられるようになります。
振り返り面談を成功に導くための必須チェックリスト
振り返り面談の成功には、以下のポイントを意識することが大切です。
振り返り面談が最終評価であると誤解を招かないようにする
振り返り面談はあくまで一次評価の確認であり、最終評価を決定する場ではありません。被評価者が「最終評価」だと誤解すると、評価会議で変更が生じた際に不満やモチベーション低下の原因となる可能性があります。評価者は、「一次評価は当該期の期待に対する実績を振り返った現時点での評価であり、最終評価ではない」というスタンスを明示し、合意しておきましょう。
自己評価の背景や理由を丁寧に聞き、理解を示す
自己評価と一次評価が異なる場合、自己評価の背景や理由を無視して強引に調整しようとすると、被評価者が「聞いてもらえなかった」と感じ、不満が募る可能性があります。仮に評価が一致しなかった場合でも、評価者がその背景を丁寧に聞いて正しく理解することで、被評価者は納得感を得やすくなります。面談では被評価者の意見をしっかり聞き、誠実に対話するように心がけましょう。
評価者間での基準や解釈のズレを防ぐ
振り返り面談で確認された内容や、被評価者からの意見や観点は評価会議において重要な情報です。評価基準や解釈にズレが生じないよう、評価会議で情報共有を行って評価者間で評価眼を磨く中で、適切な最終評価に繋がるように努めていきましょう。
まとめ
振り返り面談は、評価者と被評価者が評点の背景や理由を共有することで、評価プロセス全体の納得感を高める場です。この面談を通じて、評価の意味を再確認し、自己評価に対するフィードバックが得られることで、被評価者の成長意欲や自己理解の促進にも繋がります。また、評価者と被評価者の認識のすり合わせが適切に行われることで、次の評価フィードバック面談の効果がさらに高まるでしょう。
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