本記事について
この記事は、2023年2月8日に弊社の森数美保がVoicyでお話した#49 仕事を今より楽しむコツを元に作成した記事です。「言われたからやる」のではなく、自分で仕事の意義を見出す大切さ、楽しさについてこれまで働いた会社での経験を交えてお伝えしています。
森数美保を初めて知る方はコチラも是非ご一読ください。
自分の言葉として発言する重要性を学んだ一社目
異なる価値観の人に言葉を届けるには?
あなたの転機になった言葉はありますか?私にはいくつかあります。仕事においては、一社目の会社、転職エージェントである株式会社JACリクルートメント(以下、JAC)でマネージャーになってすぐ当時のオーナーにこう言われました。
「私の言ったことをメンバーに伝える時は、自分の言葉として伝えなさい」
この教えは今でもとても大切にしています。マネージャーが「経営が言ってるから頑張ろう」とメンバーに右から左に伝えることは無責任な行為であり、自分の意見として発言に責任を持つように言われました。
メンバーの時は、自分としては理解できない目標が経営から降ってきてもそのまま受け入れていました。新卒入社で会社の方針を刷り込まれていたためか、疑問を持たずに言われたことを行動に移していたのです。
けれども、マネージャーになってから、同じ会社の人でも様々な価値観を持つ人がいると気づきました。自分の評価がどう上がるかに関心が高い人もいれば、全部知らないと気が済まない人もいる。色々なタイプの人がいるので、「経営で決めたことだから頑張ろう」と伝えただけでは行動には移してくれません。価値観は人それぞれであり、強制して揃えるものではないことを知りました。
目標を100%達成したその先の世界を見たい
せっかく同じ会社、チームにいるからには同じ目標を目指したい、周りの人にも目指したいと思ってもらいたい。そうなるためにはどうしたらいいかを考えました。当時、JACの目標は驚くほど高く設定されおり、「70%達成でもインセンティブは出るし100%達成なんて無理」という空気が漂っていました。
ある日、「設定した目標を100%達成した先にはどのような世界が見えるのだろう?」と考え始めました。当時25、6歳だった私は知恵を絞り、現在の市場における自分たちの立ち位置を再確認することにしました。当時、リクルートという会社が業界一位、JACは三位でした。しかし、打倒リクルートは目指すべき目標ではないと思い、私たちの市場へのインパクトについて厚生労働省の発表情報を調べました。そして、人材紹介が転職市場に与えるインパクトの小ささに驚愕したのです。
今でこそ人材紹介を利用した転職者の割合は15%ほどですが、当時はほとんどがハローワークと求人媒体経由で次に縁故・リファラル、そして転職エージェント経由であり、割合としては全体の3%ほどでした。社会に全く認知されていませんし、貢献できていません。打倒リクルートを掲げている場合ではない、市場での割合を増やさなければと焦りを持ちました。
経営から下りてくる目標を100%達成したらどれぐらいインパクトがあるか、業界一位にはなれなくても、領域や得意分野を定めて頑張れば一位になれる部分はあるのではないかと考え、自分のチームメンバーに以下のようにプレゼンしました。
「転職エージェントを活用して転職する人は少なく、私達が一生懸命働いても市場でのシェアは3%ほどです。けれども、転職のプロである私達と組んだ方が良い結果になるケースは絶対にあります。目標数字を達成すると結果として市場にインパクトを〇〇(具体的な数字)くらい与えられるようになります。少なくともこの領域では、転職エージェントでNo.1になれます。」
この話をした時のメンバーの表情の変化を今でも覚えています。「売上を伸ばしましょう」「もっと成長しましょう」という話は聞き飽きていましたが、目標数字が持つ意味について語ったことがある人はいなかったので新鮮だったのかと思います。

自分から光を当ててチーム作りに成功した二社目
常々言ってることなのですが、どんな人にも、会社にもチームにも光を当てれば光るものがある、好きになれるところはあると私は信じています。実際、これまで多くの人、企業に会ってきて、この考えは間違っていないと確信しています。意味があると思うものだけに取り組むのではなく、自分で光る領域を見出すことは、仕事においてとても大事だと思います。
例えば、株式会社Misocaという請求管理サービスのスタートアップで働いていましたが、請求書には全く興味がありませんでした。けれども、自分は人事だからいい仲間を集めなければと考え、会社や組織全体を捉えた時に光るところ、好きになれるところを探し、たくさんのいいところをみつけました。この会社で働く意味、このチームで働く意味をたくさん見つけられたからこそチーム作りがうまくいったのではないかと思っています。
目指す世界をカタチにした三社目
前々職の株式会社キャスターという会社で採用代行事業に関わっていましたが、採用代行に思い入れがあったわけではありません。けれども、飛び込んでわかったことがたくさんありました。
・採用は内製化、社内でやることが美しいとされている
・アウトソースすることは恥ずかしいと思っている会社が多い
・採用は人事業務の中ではエントリーポジション(初心者向け)だと思われている
・採用代行よりも事業会社で採用人事に就いている人の方が地位が高いと思われている
採用は事業をつくる上でとても大切ですが、自社に合う正解情報はどこにもありません。採用Tipsも掲載されていますし、人事会もあるけれど、採用業務は機密情報が含まれるから共有できないことのほうが多いのです。加えて、会社のフェーズによって数値の計測ポイントや運用方法は異なりますし、そもそも数字を計測している会社も少なく、経験則や感覚で採用を進めてる会社が大半です。
採用は科学できる分野であり、採用はプロと組んだ方が絶対顧客にとってはいいはずだと思っていました。そこで、スタートアップが採用活動を始める時に”CASTER BIZ recruitingと組むのがCoolという世界”をどう作るかを徹底的に考えました。
CASTER BIZ recruitingのブランドプロポジションを一から作り、目指す世界に近づくためにSNSでの発信内容もガラッと変えました。多くの会社の採用をまるごと引き受けるからこそ得られるデータと実行に基づく磨かれた知見と型。こうした深い発信を続けることで”キャスターは採用のプロ集団”という認知を獲得し、お客様も優秀な仲間もたくさん集まりました。
けれども、「そもそも、なぜ採用代行をやっているのか?」「その先の未来、世界に何があるのか?」とある日考えました。良い人材を採用することは大事であり、私達がやった方がいいと思うけれども、単に採用代行をしたいわけではありませんでした。その思いを、私達の仕事の意義をカタチにするために、事業部のミッション・ビジョン・バリューを作りました。目標や価値観を整理して言語化することでより強い組織へと進化することができた事例です。
詳しくはコチラのnoteでもご紹介していますのでご一読ください。
仕事の意義は自分で見出す
社会人3年目にマネージャーになったことで、自分で仕事に意義を見出すことの重要性に気づいていたため、このスタイルが確立されたと思います。言われたからやる、のままだと面白くありません。やるなら意義を感じて楽しみたい。その気持ちはメンバーに伝染して良い効果を生み、結果としてチームで遠くに行けるのだと思います。
私にWillがなくても、仕事を楽しみながら続けてこられた理由は、ここに原点があるからだと思っています。なぜやるのか、やった先に何があるのか、その先にある未来を想像してわくわくする努力。意義を見出す意識を持つだけで世界はガラッと変わります。世界を変えたいと思う方がいれば、どうか試してみてください。