本記事について

この記事は、2022年12月7日に弊社の森数美保がVoicyでお話した#42 地方在住者のキャリア選択を元に作成した記事です。転居や育児に介護、家庭の事情といったライフイベントによってキャリアにブレーキをかけざるをえないことがあります。私もその一人でした。けれども、リモートワークとの出会いによってキャリアへ新たな可能性を見出すことができました。これは、私がX(Twitter)で転職活動をした際に感じた、地方在住者の転職事情についてのお伝えする記事です。

森数美保を初めて知る方はコチラも是非ご一読ください。


森数美保の略歴

私は小さい時からずっと大阪に住んでいて、高校も大学も新卒で入社した会社の配属先も大阪でした。結婚で名古屋に転居して、今も名古屋に住んでます。キャリアの途中で何度か転職をしています。

株式会社JACリクルートメント、大手キャリア、社会保険労務士事務所など3社
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リモートワークが選べる株式会社Misocaというスタートアップ
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社員全員がフルリモートワークの株式会社キャスター

3社目までは家庭と育児と仕事を抱え、働くことへの罪悪感を抱きながら仕事をしていました。けれど、私のキャリアは、リモートワークとの出会いによって大きく変遷していきました。

詳しくはこちらのnoteをご覧ください。


X(Twitter)での転職活動

株式会社キャスターを辞めた後、X(Twitter)で転職活動をスタートしました。ありがたいことに100社ぐらいからお声掛けいただき、たくさんの方とお話をさせていただく機会に恵まれました。

その時の様子をコチラのnoteでも少し触れています。


けれども、「フルリモートOK」「リモート体制整ってる」という企業は意外と少なかったのです。リモート制度はあるけれど、週に一、二回の出社が必要な企業がほとんどでした。名古屋から東京まで行けないことはありません。地方に住みながら週数回出社されている方もいらっしゃると思うのですが、子どもや家庭がある身としては負担に感じました。

中には「フルリモートの社員はまだいないけれど森数さんならフルリモートでもいいですよ」と言ってくださる企業もありました。けれども、「一人目のフルリモート社員は大変すぎる」と思い、フルリモート文化が根付いている企業に候補を絞っていきました。新型コロナウイルスの影響で、働き方の多様性が広がってきたとはいえ、まだまだ地方在住でキャリアチャンスをつかむのは簡単ではないと肌で感じた出来事でした。

地方のリモートワーク活用状況

私の肌感以外にもデータ上のリモートワーク普及率についても少しご紹介します。首都圏では令和2年以降3割以上の労働者がリモートワークを利用したことがあると回答しています。私の住む中京エリアを含む地方都市では多くて2割ほどであり、リモートワーク制度があるまだまだ企業は少ないように見受けます。

勤務先企業規模別にみると、企業規模が大きくなるほどリモートワーク率は高くなる傾向にあります。つまり、大手企業が集まる首都圏以外ではリモートワーク制度を活用できる仕事は少ないことがうかがえます。

オフライン前提環境でのリモートワークの壁

数字を見ておわかりいただけるよう、オフラインでのコミュニケーションが当たり前の企業が大半を占めています。そんな中、一人目のフルリモート社員が生まれると何が起こるのでしょうか?それは、情報の非対称性(※)です。

(※)情報の非対称性:情報を持つ人と持たない人との間に情報の不均衡が存在する状況。情報格差がある状態。

オフィスには意識せずに集まる情報が膨大にあります。偶然発生する会話だけではなく、表情・声のトーンを含めたノンバーバルコミュニケーションから得る情報は6割以上だと言われてます。フルリモート社員がそういった情報をキャッチできるような制度や仕組みがなければ、情報の非対称性によってパフォーマンスを出すことが難しくなります。「どこで働いていようと、同じで仕事内容でしょ?」と思われる方もいるかもしれません。けれども、私にとっては、スポーツの種目やルールが違うようにさえ感じられました。

働き方が合うから仕事を選ぶのではなく、価値を提供・発揮することの対価としてお給料をいただくものと私は考えています。働き方がマッチしているなら何でもいいというわけではありません。しっかりと自分の力を発揮でき、貢献できる環境を最大限探し、ジョインする企業を決めたかったのです。

多様性ある働き方によって新たな出会いを創出

転職エージェントでたくさんの求人を目にして求職者の方と話をしていた際、企業のニーズと働く人のニーズギャップがどんどん広がってるなと感じていました。

■企業と働く人のニーズギャップ
企業「リモート勤務をしてもいいけれども、週に何回かはオフィスに出社できる人を採用したい」
働く人「できれば通勤したくないな。フルリモート勤務を希望」

このギャップによって、自ずと働き方の自由度が高い企業に人材は流れます。もちろん、会うことで得られる情報価値はたくさんあります。けれども、企業にフィットする人と働くことを優先するならば、できることや歩み寄れることはあると思います。多様な人材が活躍するために、働き方や働く時間、雇用形態などを検討する余地があるのではないでしょうか。

リモートワークという働き方はずいぶん広まりましたが、フルリモートで働ける企業はそこまで多くはありません。地方在住者は、自分の家から行ける範囲にある企業、もしくはフルリモートワークが許される規模の大きい企業から選ぶしかありません。

逆にいうと、働く人の希望を汲み取ることによって、企業は素敵な人材を採用するチャンスに恵まれます。もちろん、業種的に在宅勤務が難しいという企業もありますが、リモートワークでパフォーマンスを出せる制度と仕組みが整えば、これまで出会えなかった人と出会えるのです。

リモートワークで諦めた方がいいこと

働く側としては、正直リモートワークに向き/不向きがあります。けれども、リモートワークでパフォーマンスを発揮するためのポイントはたくさんあり、ポイントを踏まることで誰でも一定レベルの成果を出せるようになります。よく「ITリテラシーを高めよう」とか「テキストコミュニケーション力が大切」と言われていますが、私は結局のところ”察して欲しい気持ち”と”察したいという気持ち”を捨てることだと思っています。

以前働いていたキャスターでは、入社初日のオンボーディングで「察することと、察してもらうことは今日から諦めてください」「5分考えてわからないことは何分考えてもわからないから質問して欲しいです」という話を必ずしていました。自分の頭で考えることも必要ですが、答えを持っていないものは聞いてしまった方が健全です。一人で悩まず、自分から周りに働きかけていくことが大切です。

もう少しリモートワークのポイントについて知りたいという方はこちらのnoteを参考にしてください。


まとめ

「リモートが絶対いい」「リモート万歳」とリモートワークを全肯定するつもりは一切ありません。ただ、私自身リモートワークという働き方に救われた一人です。働く場所に囚われず、描くキャリアを歩み続けられる世の中になって欲しいと願っています。そして、子どもたちが働く頃には「昔は出社が絶対っていう時代があったらしいね」と言われる世の中をつくっていけるよう、貢献していきたいと思っています。