本記事について

この記事は、2024年2月21日に弊社の森数美保がVoicyでお話した#101 女性のキャリア戦略を元に作成した記事です。

キャリア戦略の話をすると、「女性でもキャリ戦略を立てられますか?」「出産後でも可能ですか?」という質問をいただきます。今まであまり積極的に話してこなかったテーマですが、今回は女性のキャリア戦略についてお伝えしていきます。

森数美保を初めて知る方はコチラも是非ご一読ください。


前提

前提として、労働価値は人それぞれです。仕事を人生の中心に置きたくない人もいるかもしれません。他に大切なことがある人も勿論いますし、私のように働くことによって人生が救われたと思う人もいます。今回は、キャリアを人生の中心において考えたい人に向けた内容であることをお伝えしておきます。

キャリアはブレーキ直前までアクセルを踏んだ方がいい

私の基本情報
・二人の子どもの母
・私と夫の両親ともに遠方に住んでいる
・夫婦ともに同い年のため、キャリアとして変化が起きる時期も重なっている
・お互いフルタイム勤務であり、子どもたちが0歳のときから保育園に預けて働いている
・子どもの成長やライフイベントによって働き方を変えながら、仕事自体は続けている

あらかじめお伝えしておくと、基本的には女性だから男性だからという理由でキャリア戦略やキャリアの考え方に大きな違いはないと思っています。けれども、物理的に男性は子どもを産めません。もし産むなら女性の役割となります。そのため、出産前後は女性の方が働けない時期が長かくなりやすく、ライフステージの変化がキャリアに影響を及ぼしやすいということは事実です。

加えて、世の中のバイアスも根強く残っていると思います。例えば、「男性が一家の主となって働くべき」とか、「小さい子どもがいるなら母親がそばにいるべき」とか「ワーママはそんなに働けないから仕事を任せられない」など。そういう声をよく耳にするからか、実際にライフステージの変化に差し掛かっていないのに、キャリアのブレーキを踏む人は割と多いのです。

ステージの変化前にブレーキを踏む働く女性に話を聞いてみると、周囲のバイアスによって形成されているものが多いことがわかります。「結婚したばかりだから子どもができるかもしれない」や「あまり仕事を任せてもらえない」とか「年齢的にそろそろ結婚するんじゃないか」と周りの人に言われているようです。

その時になったらブレーキを踏まざるを得ないこともあります。けれど、「ブレーキを踏むことを本来望んでないならば、ライフイベントを見越してブレーキを踏む必要は全くありません」と全ての働く女性にお伝えしたいです。むしろブレーキを本当に踏まなければいけないタイミングギリギリまで、キャリアはドライブし続けておいた方がいいとすら私は思ってます。

キャリア軸が最優先

私の場合は、転職をすることでライフステージの変化に対応してきました。労働時間の長さや、立場的に家庭に重きを置くことが難しかったため、転職することで乗り越えてきました。人によっては転職をせずに、同じ会社の中で働き続けていける方もいます。けれど、何かを諦めても譲ってはいけないものがあると改めて思います。

こちらの記事でキャリア戦略を練る上で、キャリア軸と価値観軸、条件軸があるとお話しました。女性のキャリア戦略を考える上では、この構成要素の三つのうち、キャリア軸はできるだけ譲らない方がいいです。

例えば、働きやすさだけを重視して望まない仕事・職種に就く場合が当てはまります。職種を変えるのが駄目ということでは全くありません。やってみたらとても自分にフィットして、天職に出会えたという幸運なケースもあるかもしれません。だけどそうなることは稀です。再びキャリアドライブをかける時に備えて、雇用形態・給与といった条件軸は譲歩しても、キャリアは先を見据えて、諦めずに選択した方がいいです。

キャリアセーブの時期は飛躍するための準備期間に

既にnoteなどで知ってくださっている方もいるかもしれませんが、私がキャリアをセーブをしている間は、給与や雇用形態は捨てました。条件軸ではなくキャリア軸を重視し、”これまで”と”この先”のキャリアから離れすぎないように注意して仕事を選びました。

新卒入社した転職エージェントを働く時間や働き方を理由に辞めました。次は契約社員で給与は3分の1になりましたが、残業がない大手での採用担当の仕事を選びました。その次に、労務系の”タグ”を取ること、社労士資格勉強との相乗効果を狙って、社労士事務所での仕事選びました。けれども、給料はさらに低くなりました。

働き方だけを重視して選ぶこともできました。実際、家の近所で全然違う仕事しようと思ったこともありました。けれども、子どもを産む期間を社会から離れていたこともあり「これ以上積んできた経験から離れない方がいい」と思い、給料が低くても経験からズレない仕事をしようと判断しました。

「経験から離れた仕事をすると、”ブランク期間”だと思われのでは」という不安な気持ちも正直あったと思います。この時期は、いつかまた大きくジャンプできるように、近接のエリアで準備体操しながら屈んでたというイメージです。

経験は将来変わることのない不動の”タグ”

キャリアは事実としてやったこと、つまり”経験”です。”能力”と”結果”に分解できますが、やったことは事実なので”タグ”になります。

例えば、大手企業で人事とスタートアップで採用担当を経験したとします。使った能力や得られた力、結果は違いがあったとしても、大手企業で人事経験があり、スタートアップでも働いていたということは、”不動のタグ”です。

ですから、事実を整理して、組み合わせて、結果が出る要素をさらに整理していく。人それぞれですが働く動機も重要であるため、動機も整理します。その上でキャリアドライブをかけられるタイミングで、希望のキャリアを選べるような選択をし続けることが大事です。

キャリアにアクセルをかけるタイミング

キャリアにアクセルをかけるタイミングについてよく聞かれるのですが、私は”プチドライブ期”と”全開ドライブ期”がありました。

”プチドライブ期”は、上の子が小学校に上がる1年前です。最初の1年で転職先で実績を出せば、子どもが小学校1年生になって子ども中心でスケジューリングする機会が増えても、問題なくパフォーマンスを出していけると考えたからです。入社と同時に有給を付与する会社も増えましたが、法定通りにに有給が支給されるタイミングが入社半年後ということも、プチドライブ期を小学校1年生になる前に設定した理由の一つです。”全開ドライブ期”は下の子が小学校に上がって半年ぐらい経過した時です。このタイミングでアクセルを踏み直しました。

周りに助けてくれる人がいると違うのかもしれませんが、私は両親ともに遠方で、パートナーも同世代でフルタイムという環境です。キャリアにブレーキをかけざるをえない時が来たら、嫌でもブレーキを踏むしかありません。

「それまでにいかにアクセルを踏むか」と「ペースを落とす時期でもキャリアとして進む道そのものについてはよく考えて選ぶ」ことが大切です。バイアスに囚われてブレーキをかけず、アクセルをかけられるタイミングがあれば一気にドライブしましょう。

まとめ

最近、周りで「あの時もう少し働いておけばよかったな」と後悔する声をよく聞きます。これからライフステージの変化がある方は後悔のないようにキャリアを歩んで欲しいです。今「こうすればよかったな」と思っている方も、これから先働く時間の方が長いのでまだまだ大丈夫です。

自分のこれまでを振り返り、現在地を確認して、この先笑顔で豊かになるためのキャリアを選択するヒントになったら嬉しく思います。